ホストクラブの歴史~ホストブームと法改正~

ホストクラブの歴史ホストブームと法改正 コラム
ホストクラブの歴史ホストブームと法改正

2025年6月28日に『改正風営適正化法』が施行されました。
女性に支払えない額のお金を使わせる『悪質ホストクラブ』が問題になった為です。

現在は第三次ホストブームと言われているのをご存知でしょうか。
ホストクラブは、ブームになっては規制をかけられるというのを繰り返しています。

ホストブームと法の歴史を見てみましょう。

ホストブーム以前

社交ダンスがホストクラブの始まり

1965年に男性ダンサーが女性と社交ダンスを踊るお店がオープンしました。
それがホストクラブの誕生だと言われています。

そのお店から独立した【愛田武】さんが1971年に『愛』をオープン。
今でもある『愛本店』ですが、これがホストクラブの原型を作りました。

その後は、小さなホストクラブが点々と存在する状態が続きます。
1980年代はバブル経済に突入し、ホストクラブも盛り上がって…
という所で1990年代前半にバブルがはじけ…ホストクラブの多くが潰れます。

愛田武さん率いる愛田観光は、その時代に生き残ります。
生き残るどころか、他を吸収して勢力を拡大します。
そしてその頃、後にホスト業界を変える【零士】さんが愛本店に入店します。

1996年、【高見翔】さんがセシル30というホストクラブをオープン。
【頼朝】さんが入店して以降大人気となり、拡大移転しました。
シャンパンコールという仕組みを作ったのが頼朝さんと言われています。
移転に伴い改名したのが『TOPDANDY』で、グループダンディの誕生です。

1997年、現在の歩合制度の基礎を作った『ロマンス』がオープン。
集客も客引き(キャッチ)だけではなく、風俗誌に広告を出す流れを作ります。

この群雄割拠の状態がホストブームの下地となりました。

第一次ホストブーム

2000年代のホスト
2000年代のホストのイメージ

最初にホストブームと呼ばれる現象が起きたのは、2000年頃と言われています。

ホストはテレビには出ないのが常識でしたが、零士さんがテレビに出演したのが発端です。
ホストという存在を初めて知る人も多く、面白いキャラクターもあり全国的な人気になりました。
零士さんの「ガブガブいっちゃえ!」のセリフは、当時のちょっとした流行語です。
テレビで引っ張りだこになったことで、ホストクラブの認知度がグングン上がっていきました。

零士さんに続きいて頼朝さん、TOPDANDY【流星】さん、愛本店【城咲仁】さん、ロマンス【陽生】さん、『スティンガー』【手塚】さん、大阪では『アクア』【楓十座】さんなどがメディアを賑わすようになります。
特に陽生さんと楓十座さんの《東西バトル》はテレビで放送されて話題となりました。
TOPDANDYでは【優士】さんと【信虎】さんの売上対決もテレビ放送されて話題になってます。

この時に生まれた人気ホストをさす言葉が《カリスマホスト》です。

ホスト独立ブーム

第一次ホストブームの中に沸き起こっていたもう一つのブームが、ホスト独立ブームです。
人気となったカリスマホストたちは独立をしてき、ホストクラブ業界がどんどん拡大しました。
スマッパグループも、この時にスティンガーの手塚マキさんが独立して誕生しています。

第一次ホストブーム末期

この頃から、多額の借金(売掛)を作り支払えなくなる女性が増加。
女性が売春や犯罪を犯す事例が出てきました。
2002年には新宿ホストクラブリンチ殺人事件が発生。
その後歌舞伎町浄化作戦が行われるも、2005年にホストによる集団準強姦が発生。
2008年にはリーマンショックもあり、第一次ホストブームは終焉を迎えました。

第一次ホストブームと法について

ホスト絡みの事件が増加し新宿の治安が悪化したことで、2004年に石原慎太郎都知事が治安改善のための施策を実施。
この施策は《歌舞伎町浄化作戦》と呼ばれています。
作戦の柱は下記の2つ厳格化です。

  • 午前零時までの客の退店(風俗営業法)
  • キャッチの禁止(東京都迷惑防止条例)

営業時間は地域の条例によって、午前1時(25時)までの閉店となりました。

ネオホストブーム(第二次ホストブーム)

東日本大震災とホスト
東日本大震災とホストのイメージ

歌舞伎町浄化作戦は、反社との分離の効果もありました。
その結果、経営の透明化が行われて多くのグループが誕生します。
エアーグループ冬月グループKGグループなどが誕生しています。
TOPDANDYの優士さんもシンスユーグループを立ち上げています。

2011年3月11日、東日本大震災が発生します。
震災の影響は日本中から活気を奪い、歌舞伎町のホストクラブも静かになりました。
老朽化したビルにはヒビが入ったり、雑居ビルは防災の観点での問題もありました。
しかし、半年後には再び活気のある歌舞伎町に戻ります。

その頃、整形ブームなどもありホストの美意識に変化が生まれます。
スーツを着てスジ盛りで頭を決めるようなホストの時代は終わります。
カジュアルで清潔感のある私服やナチュラルなヘアスタイルのホストが増えました。

スーパーゆとり世代

日本では、1980年から2010年頃にゆとり教育が行われています。
中でも1995年生まれはスーパーゆとり世代と呼ばれています。
小中高とすべての義務教育でゆとり教育を受けた世代です。
2015年、スーパーゆとり世代が成人になった年です。
ちょうどこの頃が、ネオホストブームにあたります。

コロナ禍とネオホストブームの終焉

ネオホストブームは、とても大きな力によって終わりを迎えます。
それは《新型コロナウイルス》の襲来です。

2019年11月22日、中国武漢で原因不明のウイルス性肺炎を確認。
その後、爆発的に感染を広げ、日本でも多数の死者がでる事態に。

新型コロナウイルスは、空気感染では飛沫感染です。
小さな微粒子となって空気中を漂って感染する性質があります。
ホストクラブのような密閉された空間での飲酒と会話は、感染のリスクが高いです。
実際に度々集団感染(クラスター)を起こしていました。

そのため、ホストクラブは日本全土からヘイトを向けられてしまいます。
まともな営業が出来る状況ではなくなり、多くのホストクラブが閉店に追い込まれました。

ネオホストブームと法について

歌舞伎町浄化作戦以降、ホストのキャッチ行為は厳しくなりました。
しかし、ホストではなく外販と呼ばれる外部業者に委託する方法で継続されていました。
また、路上でたむろしている客待ち行為も増えていました。

2013年9月1日に《新宿区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例》が施行されました。
さらに、2016年6月1日には改訂されて強化されました。

この条例によって、客引きから紹介された客を店舗に立ち入れることや客待ち行為も禁止されました。
さらに賃貸契約の解除も出来るようになっています。

2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大の際には緊急事態宣言が発令されました。
ホストクラブは半ば強制的に休業させられ、従わない場合は店名が公表されました。

第三次ホストブーム

ホストとお金
ホストとお金のイメージ

コロナ禍で瀕死の状態にホストクラブ業界ですが、コロナ禍が終わってすぐに再度ブームになります。
ホストクラブが原因での落ち込みではなく、グループ化で体力があったのが要因です。
2011年以降、1億円を売り上げるホストが続出し、年間の歴代最高記録も塗り替えられて行きます。
新店舗の出店も多く、歌舞伎町やミナミでは大きな箱の確保が難しくなっていました。

ホストの売上が増えていくという事は、ホスト業界全体に落ちるお金の合計が増えるという事。
バブルのような好景気ならそれもありえますが、景気は良くありません。
どこからそんなお金が出てくるのか…と疑問に思いますが、歪みは確かに出ていました。

第三次ホストブームの光と影

最高売上を達成するホストの光の部分とは対照的に、影となるニュースが増えます。

売掛問題

飲食代を後払いにするツケは昔からありますが、ホストクラブではカケ(売掛)と言います。
ホストがお客様に支払い能力を超える金額のカケをさせて問題となるケースが増加しました。
払えないカケに対して、ホストが無理な取り立てをする、風俗で働かせる、立ちんぼをさせることが社会問題になりました。

立ちんぼの増加

ホスオトクラブ街の北側のラブホテルが立ち並ぶゾーンに、大久保公園があります。
大久保公園はフェンスに囲まれているのですが、ここに多くの若い女性が立つようになりました。
その多くは、ホストクラブでお金を使うための売春をしています。

ホストクラブのお客様による犯罪

ホストクラブで使うお金欲しさの犯罪が目立ち始めます。
おじさんからお金を騙し取り、そのマニュアルを販売するという事件は、世間に衝撃を与えました。
いわゆる《頂き女子りりちゃん事件》です。
担当ホストも逮捕されたことで「犯罪で得たお金と知っていて使わせる」ことも犯罪となることが知られるようになりました。

色恋営業問題

そもそもなぜ女性は支払い能力を超えたお金を使ってしまうのでしょうか。
ホストは女性にお金を使わせる手法に《色恋営業》というものがあります。
人間には誰かの為に頑張るという感情があります。
特に好きな人のためには限界を超えて頑張ります。
色恋営業では、女性に自分に対する恋愛感情を植え付けて利用します。
それは宗教にも似た洗脳状態ともいえるので、社会問題となりました。

トクリュウとの繋がり

トクリュウは、匿名・流動型犯罪グループの略称で準暴力団と位置付けられています。
以前は半グレとも呼ばれていた反社グループです。
トクリュウの犯罪が増えたため、警察はトクリュウに対する取り締まりを強化しました。
ホストクラブは、スカウトやキャッチでトクリュウと繋がるケースがありました。
また、女性を風俗に紹介する際にもトクリュウが絡むことがありました。

第三次ホストブームと法について

2025年6月28日に《改正風営適正化法》が施行されました。
当初、売掛制度(カケ)が問題の根本にあるとして無くそうとしていました。
しかし、ホスト業界以外でもツケは行われていることなので、規制は出来ませんでした。
そこでカケの前段階となる、色恋営業やホスト間の競争などを徹底的に排除する法律になりました。
今回の規制は、「ナンバー制度の廃止」「役職制度の廃止」「〇〇〇万プレイヤーの禁止」などホストブームの肝になった部分も対象になっています。

改正風営適正化法についての詳しい説明や、施行後についてはこちらをご覧ください。

まとめ

ホストクラブのブームと規制の流れについて解説しました。
ブーム、社会問題、規制、そしてまたブームになる。
ホストクラブ業界はこれを繰り返して成長を続けてきました。

改正風営適正化法による影響が本当に出てくるのはこれからです。
たとえホストブームが終わっても、さらに大きなブームと共に復活するでしょう。

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